調香師のように新しい香りを生み出した、お酒を使わないティラミス

調香師のように新しい香りを生み出した、お酒を使わないティラミス

画家が美しさの秘密を解き明かそうと色彩や構図の法則性を探るように、料理人はおいしさがどうして生まれるのかを研究しつづけている。みんなから愛されているおいしい定番デザートたちを、そんな作り手の目線から眺めてみたら何が見えるのだろうか。

この連載ではフランスの星つきレストランで修行を積んだMr. CHEESECAKEシェフ田村が、シェフの目線で「おいしい」の要素を分解し、その秘密にせまります。 

第3回目はティラミスです。

ティラミスは基本お酒入り。けれどあえて使わない理由

イタリアンではお馴染みのデザート、ティラミス。クリームの濃厚な口溶け、そしてココアパウダーやエスプレッソの苦味との組み合わせが、大胆で豊かな味わいを作りだしています。

そんなティラミスですが、「お酒の香りでおいしさのボディが作られている」と田村が言うほど「お酒」の存在が重要なデザートだそうです。

ほとんどのティラミスには香りづけのためにお酒が使われています。よく使われるのは酒精強化ワインに分類される、マルサラワイン。酒精強化ワインとは、高アルコールの蒸留酒を加えてアルコール分を高めた、保存に適したワインのことです。ポルトガルのポートワインやシェリー酒も、酒精強化ワインです。

これらは甘くてコクのある味わいが特徴的。

けれども田村のレシピでは、味に深みと香りづけをしてくれているお酒をあえて抜いています。

人生最高のティラミスレシピ

これには2つ、理由がありました。

現代だから作れる軽いティラミスを、家族で楽しんで欲しい

田村
「家で作るものですから、家族みんなで楽しんで欲しいなと思っています。なので子どもも食べられるように、お酒がなくてもおいしさが作れないかを考えたんです。それが1つ目の理由。

そして2つ目は、現代に合ったティラミスを提供できないかと思いました。

昔からあるフランス料理やイタリア料理のレシピは、煮詰めたり、お酒を加えるものが多いです。なぜそうしなければならなかったのかを僕なりに考えたのですが、今のように冷凍の技術がなく食材の鮮度が保てなかったから、という理由もあるかもしれないと思いました。

そこで現代に合わせた味を模索した結果、お酒を使わないものを作れないだろうかと考えたんです。お酒を使うとガツンと重みのあるおいしさになりますが、逆にかるい口溶けのティラミスを作れたら、今の気分に合うかもしれないなと」

コーヒー・カカオ・それにほうじ茶?香りの4重奏で、深みをだす

お酒の代わりに田村が使ったのは「カカオ・コーヒー・焦がしバター・ほうじ茶」。洋菓子では定番の材料も多い中で、ついつい気になってしまうのがほうじ茶の存在です。その狙いとは?

田村
お酒は醸造する過程で、いろんな風味が作られます。ワインも蜂蜜やレモンなど、花や果実の香りがしますよね。

なのでお酒の代わりを作るには、いくつかを組み合わせて複雑性を出さなければならない。どうやって香りを作るかを考えるだけで、おいしさの満足感が変わると言っても過言でないほど、香りは重要な要素です。

そこで考えたのが、4つの香りを重ねるということでした。まずコーヒーとカカオの香ばしい香りを軸にして、相性の良いものは何かを考えました。

同じ方向性でありながら、コーヒーやカカオとは違う香ばしさを持つ食材ってなんだろう。そこで思いついたのがほうじ茶です。ほうじ茶にはお茶ならではの深さもあり、味も作ってくれます」

冷凍すると、香りが変わる

私たちが作るチーズケーキは、冷凍・半解凍・解凍の3つの状態、それぞれのおいしさを楽しんで欲しいと思っています。

このティラミスもまた、冷凍にすることで味に変化が訪れます。

田村
冷凍した場合は、甘さよりもカカオの味わいやコーヒーの香ばしさが引き立つと思います。

それに口の中で溶けるまでに時間がかかるため、冷蔵の時よりも濃厚に感じるはず。

まだ凍っているところと溶けた部分、その両方が作る奥行きを、口の中に感じてもらえたらうれしいですね」

メレンゲを使って軽い口溶けに設計されたティラミスは、伝統的なレシピを踏襲しつつも、今までとは違ったおいしさを生み出しています。

まるで香水を作るかのように香りを楽しめるおやつは、きっと豊かな時間を生み出してくれるはず。

ぜひご自宅で試してみてください。 

人生最高のティラミスレシピ

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