ザクザクの生地だからこそクリームも引き立つ。食感を楽しむクロッカンシュー
画家が美しさの秘密を解き明かそうと色彩や構図の法則性を探るように、料理人はおいしさがどうして生まれるのかを研究しつづけている。みんなから愛されているおいしい定番デザートたちを、そんな作り手の目線から眺めてみたら何が見えるのだろうか。
この連載ではフランスの星つきレストランで修行を積んだMr. CHEESECAKEシェフ田村が、シェフの目線で「おいしい」の要素を分解し、その秘密にせまります。
第8回目はクロッカンシューです。
シュークリームは生地こそ主役
香ばしさとバニラの甘い香り、そして口の中でとろけるクリーミーさ。今やスーパーやコンビニにも多様な種類が揃っているシュークリームは、日本でも定番のデザートと言えそうです。
名前の由来はフランス語の「シュー・ア・ラ・クレーム」。実はシュークリームとは日本だけの呼び名なのです。そんなシュークリームをフレンチで修行をしていた田村から見ると、名前だけではなく作り方や楽しみ方もまた、日本独自の進化を遂げているといいます。
田村:
「僕にとって日本のシュークリームは、クリームが主役、という印象が強いです。シュー生地がふわふわと柔らかいため口の中でとろけやすく、クリームと一体になって食べているという感覚になりやすいからだと思います。
でも僕は生地をいかにおいしく作るかにこだわると、また違ったおいしさに出合えると思うんです」
ザクザクとした食感で、クリームとの対比を作り出す
田村がおすすめするシュークリームの食べ方は、食べる直前にシュー生地にクリームを入れるというもの。生地のザクザクとした食感を存分に味わえるそうです。
お店によっては購入するときにクリームを入れてくれるところもあります。そして家で作るのもおすすめ。食べたいタイミングを自分で選んでクリームを入れられるので、シュークリームこそぜひ家で作ってみて欲しいお菓子なんだとか。
田村:
「僕のレシピの場合はさらに食感を楽しめるように、クロッカン生地を使って仕上げています。卵白に粉糖と小麦粉、さらにアーモンドパウダーを混ぜてクロッカン生地を作ってシュー生地に載せると、ザクザクとした食感になるんです。シュー生地は小麦粉がメインのため時間が経つとしっとりとしてきますが、クロッカン生地は飴に近いからカリカリとしたまま」
さらにカリカリとした食感を底上げするために、シュー生地に使う水をごくごく少量にしているのもポイント。水を多く使うと生地が伸びやすくなりますが、あえて控えてリッチなシュー生地にすることで焼き色がつきやすく、さっくりとした食感を生み出します。
田村:
「普通は薄力粉ですが、今回のレシピの場合は薄力粉の中でも蛋白成分の多いドルチェという粉を使用しています。粉を変えることで焼けた部分の旨味が強くなるんです。
膨らむ力は弱くなりやすいですが、しっかりと焼けた生地は旨味があります。シュー生地の存在をより強く感じられるはず。
シュー生地がしっかりしているからこそ、クリームの存在もより引き立っておいしく感じられると思いますよ」
こだわりのシュー生地に合ったクリームとは?隠し味は中国茶
主役にしたいほどおいしいシュー生地ができあがったら、今度はそこに合うクリームについて思考を巡らせます。
シュー生地が香ばしい味わいに仕上がっているため、クリームにも香ばしい香りのものがマッチするはず。そこで田村が思いついたのが、中国茶でした。
田村:
「クリームの中に “岩茶” という香ばしさやスパイシーさの強い中国茶を合わせています。
クリームにはカスタードと生クリームを合わせたディプロマットクリームを採用。カスタードだけでもおいしいですが、生クリームが入った方がより濃厚でミルキーなクリームになります」
噛むごとに口の中に香りが広がる存在感のあるシュー生地と、なめらかなクリームとの調和が楽しいクロッカンシューのできあがりです。
今回このクロッカンシューがTam Lab.に登場!3月17日(日)〜3月19日(月)に抽選にて販売いたします。ぜひ味わってみてくださいね。
フランスの星つきレストランで修行を積んだMr. CHEESECAKEシェフ田村が、シェフの目線で「おいしい」の要素を分解し、その秘密にせまる連載「おいしいを分解してみると。」
vol.7 名スウィーツをご自宅で。一口ごとに新しいおいしさに出逢うヌガーグラッセ
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