商品よりも先に目に入るものだから。Mr. CHEESECAKEの世界観を完成させた「箱」が担う責任とブランド

商品よりも先に目に入るものだから。Mr. CHEESECAKEの世界観を完成させた「箱」が担う責任とブランド

Mr. CHEESECAKEに深く関わり、支える人たちの想いやこだわりをご紹介する「私とミスチと。」。

第8回は、モリタ株式会社の守田英世さんにご登場いただきます。私たちの顔とも言える「箱」を、創業から6年間ずっと担当してくださっている大切なパートナーです。「モリタさんがつくる箱には日本的な美しさが宿っている」と、代表の田村はそのものづくりに深い信頼と共感を寄せています。

Mr. CHEESECAKEとの出会い。デザインに込めた思い。凜とした佇まいをつくるプロセス。描いている未来。

——奥深い箱の世界について、お話しいただきました。

Mr. CHEESECAKEを「完成させた」箱

あたりまえですが、箱の最大の仕事は「中身を守ること」です。箱があるから、安心して商品を運んだり保管したりできる。

でも、じつはそれだけではありません。商品よりも先に目に入る存在として、「世界観を伝える」という大切な役割を担っています。たとえば高級ブランドの箱は堅牢に、気軽に買えるものの箱はカジュアルにつくられていますよね。箱が、「どんな商品か」を表現しているんです。

私たちモリタ株式会社は、そんな箱を90年以上つくりつづけている会社です。そしてこの6年間、箱を通じてMr. CHEESECAKEの世界観を表現するお手伝いをしています。

私たちの会社は札幌にありますが、おかげさまで日本中から「こんな箱をつくってほしい」「新商品の相談に乗ってほしい」とお問い合わせをいただいています。Mr. CHEESECAKEさんとのお仕事もそう。創業準備中に、デザイナーさんがうちのホームページを見てご連絡くださいました。

前提として、パッケージは基本的にオーダーメイドなんですね。中に入れるものが主役。それを引き立たせるためにデザイン、サイズ、そして価格など、あらゆる面でぴったりのひと箱をご用意するわけです。

最初にMr. CHEESECAKEさんから「Vカットボックス」(後ほど詳しく説明します)のお問い合わせをいただいたとき、すでにチーズケーキの概要は決まっていました。フルーツが乗った華美なケーキではないこと。シンプルな美しさを追求したいということ。それならたしかにVカットがぴったりです。

ただ、ひとつ気になる点がありました。それが、ふたの開き方です。一般的にこの形状の箱は指輪ケースのように真ん中で開くデザインが多いのですが、下からがばっと開いたほうがいいのではないかな、と。

というのも、Mr. CHEESECAKEは冷凍で届き、冷凍〜解凍の状態を楽しめるケーキです。食べる分だけを切り分けて解凍する方が多いと伺いましたが、一本まるごと解凍する方もいらっしゃるでしょう。

そのとき「取り出す」アクションが入ると、持ち上げるときにやわらかくなったチーズケーキが崩れてしまいますよね。だったら、「引き出す」アクションにするほうが体験を損ねないのではないかと考えたわけです。

その提案を受け入れていただき、今に続く外箱ができあがりました。田村さんは完成した箱をはじめて見たとき、「Mr. CHEESECAKEになった」と思われたそうです。シンプルで美しく、日本的。自分が目指す世界観にぴったりだ、と。

最近も「ここぞというときのクリエイティブでは、絶対にモリタさんのVカットボックスを使いたい」と言っていただきました。箱屋冥利に尽きますね。

知られざる箱の世界

「Vカットボックス」は厚手の紙にV字の切れ込みを入れ、その部分を折り曲げて箱をつくる手法です。直角のエッジが際立ち、高級感のある佇まいを演出できます。製作工程はざっくり下記のとおり。

芯材となる紙を断裁→箱を折り曲げるための溝をVカットでつくる→サイドのパーツをはめる溝を切り込む→箔を押す→箱を貼り付ける(3パーツの組み立て)

このひとつひとつの工程でこだわり抜いて、精巧で美しい箱を目指すのです。

たとえば「同じ形状でもモリタの箱はとりわけシャープで美しい」とよく言っていただけるのですが、それは機械や刃のこまめなメンテナンスはもちろん、芯材の紙を「化粧断ち」しているからでしょう。一度大きく断った紙のフチを、美しく仕上げるためにさらにカットする。

この方法、手間はかかるしロスも出るのですが、圧倒的に切り口が整うんですね。田村さんは「包丁の切れ味で料理の完成度が変わるのに似ている」と感心されていて、さすがの視点だと思いました。

Vカットの深さも腕の見せ所です。浅いときれいに折り曲がらないし、やりすぎると破れてしまうので微調整が欠かせません。サイドのパーツをはめる溝を入れるのにも、高い技術力を要します(この部分は企業秘密でもあります)。

もちろんすべての工程で、ベースとなるマニュアルはあります。でも、紙は気温や湿度で状態が大きく変化する素材。現場では日々、0.1ミリ、0.2ミリの戦いが繰り広げられているんですよ。

ロゴに使っている箔も同じく、気候によって出方がまったく変わります。「その日の完ぺきな箔」になるまで職人たちが粘り強くトライするのは、我々の日常の風景です。

Vカットボックスは、微細な汚れや傷が致命的になってしまうむずかしさがあります。箱を組み立てた後に別の紙を貼って仕上げる方法であれば隠せますが、Vカットボックスは芯材をそのまま使う、あるいは先に別の紙を貼った状態で加工します。つまり、製造加工中に生じた傷や汚れがあらわになってしまうわけです。

そして……Mr. CHEESECAKEはとにかく検品が厳しい(笑)。検品の基準もどんどん上がってきています。ちょっとした汚れも弾かれますし、芯材に使っている再生紙の細かな混入物がノイズになるということで、白い紙を貼るなど細かい調整を重ねたこともありました。

「お客さまに最高の体験を」という強い思いには、ほんとうに背筋が伸びますね。

共に成長する相棒として

箱に携わるおもしろさのひとつが、商品ごとのストーリーの多様さです。モリタは法人だけでなく個人のお客様も多いので余計にそう思うのですが、箱ってほんとうにさまざまなモノが入るんですよ。

だから、背景に流れるストーリーもひとつずつまったく違う。伴走して、ご提案して、クオリティにこだわって、イメージに沿った箱をお渡しして、そこに関係が重なっていくやりがいは大きいです。

ちなみに、Mr. CHEESECAKEのストーリーは……「激動」のひと言。この6年で劇的に生産量が増えただけでなく(つくる箱のケタが変わりました)、各地でポップアップを開催したり麻布台ヒルズへ出店したりと、どんどんフェーズが変わっていくのを共に体験させていただきました。

田村さんは「売れるから」「流行だから」といった考え方ではなく、本当に自分がいいと思うものだけをつくっています。どれだけ商品を愛し、信じ抜けるかを大切にしている。

そんなプロダクトを手がけている彼が心から信頼してくれているわけですから、美しい箱をきちんと提供し、世界観を守っていくのがモリタの使命です。さらに次のステージに進んでいく彼らを、箱屋として、仲間として、今後も全力でサポートしていきます。

そうそう。海外でポップアップを開催する中で、「なんだこの美しい箱は!」という反応をもらうことがあると教えていただきました。田村さんが見初めてくださった「日本的な美しさ」や世界観が伝わっているんだなと自信にもなります。

かくいう私も長いお付き合いを経て、Mr. CHEESECAKEの世界観にどっぷりです(笑)。家の冷凍庫には必ずMr. CHEESECAKEが入っていて、週に1、2回は世界観と共に味わう。その時間はなんとも言えませんね。

この箱があっての、Mr. CHEESECAKE。そんな存在であり続けたいと思います。

守田英世profile
箱プランナー
北海道札幌市出身。大学卒業後、地元段ボールメーカーの企画営業部にて新規事業の立ち上げに従事する。6年の勤務を経て、家業であるモリタ株式会社に転職。紙箱づくりの箱プランナーとして、全国のお客様に「紙箱」をお届けしている。趣味は登山と車。

(取材・執筆:田中裕子)

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