
レモンの魅力を心ゆくまで堪能できる、ウィークエンドシトロン
画家が美しさの秘密を解き明かそうと色彩や構図の法則性を探るように、料理人はおいしさがどうして生まれるのかを研究しつづけている。みんなから愛されているおいしい定番デザートたちを、そんな作り手の目線から眺めてみたら何が見えるのだろうか。
この連載ではフランスの星つきレストランで修行を積んだMr. CHEESECAKEシェフ田村が、シェフの目線で「おいしい」の要素を分解し、その秘密にせまります。
第9回目はウィークエンドシトロンです。
フランスのレモンの産地で育まれた、食材への想い
week-end citron(ウィークエンドシトロン)とは、フランスの伝統的なお菓子の名称で、バターケーキの表面に粉糖にレモン果汁を加えた真っ白なグラスアローを施した見た目も爽やかなケーキのことです。
シェフ田村が修行をしていた南フランスのMenton(マントン)は、地中海に面したあたたかな気候で育まれたレモンが有名な場所。そのためレモンはシェフ田村にとって馴染み深い食材です。
今回もそうしたレモンへの想いから、Mr. CHEESECAKEならではのウィークエンドシトロンを作ろうと思ったようです。
田村
「酸味と香りのあるものが好きなので、レモンは僕の好みの食材です。
さまざまなウィークエンドシトロンを食べましたが、自分の好みに合う、レモンの風味をしっかりと感じるものが多くないと思っていました。
そこでレモンの魅力を最大限に生かした自分なりのウィークエンドシトロンを作ろうと決意したんです」
レモンの果汁とピールをふんだんに使って、豊かな香りと酸味に
シンプルな焼き菓子であるウィークエンドシトロン。レモン独特の爽やかな香り、そして酸味や苦味を存分に楽しんでいただけるように、さまざまな工夫を凝らして生地を仕上げています。
田村
「レモンの酸味を際立たせたかったので、一般的なレシピの3倍近くのレモン果汁を加えています。
さらに生地にはレモンのマリネを練り込んであるんです。
使用しているのは、マイヤーレモンという種類のレモンをコンフィにしたものと、瀬戸内で作られているレモンのコンフィ。マイヤーレモンは他のレモンに比べて甘みがあり、まろやかで独特な良い香りが特徴です。苦味も強くないため、混ぜ合わせることで心地の良い苦味と酸味が加わります。
コンフィなどの砂糖漬けにすると、どうしても風味は落ちてしまいます。そこでこの2つをレモン果汁でマリネし、酸味と香りを補ってからケーキに混ぜているんです。
さらにケーキが焼き上がった時に果汁で作ったシロップを染み込ませ、レモンの香りを存分に感じられる作りにしています」
しっとりとした食感。パウンドケーキもフレッシュな味わいに
食感もまたよりレモンの風味に合うように仕上げています。
田村
「通常のパウンドケーキはバターと卵と小麦粉と砂糖を4同割で作るのですが、それだとパサパサとした食感になりやすく、レモンにふさわしいフレッシュ感が足りないと思いました。
そこで今回はバターと卵と砂糖を同じ割合にし、小麦粉の分量を減らしたんです。その代わりに入れたのが、小麦粉よりも油分が多く生地をしっとりとさせてくれるアーモンドパウダーです。
さらに味のつなぎとしてレモンと同じく酸味のあるヨーグルトを入れました。発酵している素材ならではのコクも加わります。同じく乳製品の練乳も加え、ペースト状の素材だからこその水分が入り、しっとりとした生地に仕上がっています。
水分が多くなるとバターの油脂が分離をしてしまい生地をまとめるのが難しくなるのですが、分離しないぎりぎりの配合にこだわりました」
仕上げのレモンパウダーは、時間が経つほど違った味わいに
しっとりとしたグラスアローが、見た目も味わいも他のパウンドケーキとは違った印象にしているウィークエンドシトロン。
通常は粉糖にレモン果汁を加えて作りますが、今回はレモンパウダーを使用しました。
田村
「冷凍をする際に、通常の作り方だとおいしさに納得がいかなかったんです。そこでレモンをパウダー状にしたものを粉糖と混ぜ、まるでシュトーレンのようにケーキにまぶしています。
パウンドケーキは賞味期限が長く、日にちが経つにつれて食感が変わってゆく様子を味わえるのも魅力です。
特にMr. CHEESECAKEでは出来立てをすぐに冷凍しているため、ご自宅で解凍をした日が1日目、焼きたての状態です。
お届けしたままの紙に包まれた状態で解凍すると粉糖がケーキに馴染みしっとりとし、そして乾くと今度は表面の粉糖がしゃりしゃりとした食感に変化します。
さらに日を重ねると空気中の水分を吸ってより生地がしっとりとした食感に。紙を外してラップでくるんで保存した場合も水分を逃さず、食感が変化するんです。ぜひご自宅で好みの食感を見つけてみてください」
レモンの魅力をふんだんに詰め込んだMr. CHEESECAKEならではのウィークエンドシトロン。
暑くなってくる季節に、ぜひ爽やかなレモンの香りや酸味を心ゆくまでご堪能ください。
製品情報
Mr. CHEESECAKEのシェフ田村が“今までにないおいしさ”を探求し提供するプロジェクト「Tam Lab.(タムラボ)」から「week-end citron(ウィークエンドシトロン)」と「chocolat pecan pound cake(ショコラ ピーカン パウンドケーキ)」が登場。2023年5月21日(日)・5月22日(月)各日10:00から販売します。
week-end citron
酸味をキュッと感じる味わいと、しっとり滑らかな食感のウィークエンドシトロン。広島県産のレモン果汁に三重県産の香り豊かなマイヤーレモンと瀬戸内産レモンのレモンピールなど複数のレモンを組み合わせました。解凍することで熟成が進んでいくため、常温で解凍後、日が経つごとに変化する味わいと食感をお楽しみください。
chocolat pecan pound cake
旨味をテーマにした、ショコラ、ピーカンナッツのパウンドケーキ。全粒粉を使うことで生地のつながりを穏やかにし、口の中で解けるような食感をご堪能いただけます。解凍することで熟成が進んでいくため、常温で解凍後、日が経つごとに変化する味わいと食感をお楽しみください。
販売日:5月21日(日)・5月22日(月)各日10:00〜
公式サイト:https://mr-cheesecake.com/pages/tam-lab
*数に限りがあり、なくなり次第終了となります
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