質感と温度感。「Mr. CHEESECAKEらしいイラスト」はどのように生まれるのか?

質感と温度感。「Mr. CHEESECAKEらしいイラスト」はどのように生まれるのか?

Mr. CHEESECAKEには、日々たくさんのメッセージが届きます。

「おいしかった」「大好きなひとと食べました」「いい時間になりました」——。

じつは、そんなうれしい声の中でも多いのが、

「カードの絵がすてき!」「食べかたを説明しているイラストがかわいい!」というもの。

材料や季節にちなんだモティーフを描いたイラストは、

限定フレーバーを出すたびに話題になってきました。

今回は、2019年のリニューアルからたくさんの心おどるイラストを生み出してきた

satsukimさんにお話をうかがいます。

どんなことを考え、感じながら、見る人を幸せにする絵を描いているのか。

Mr. CHEESECAKEの数々のイラストに込めた思いを聞いてみました。

 

「家族を想って描いた絵」で生まれたつながり

平日の昼間はデザイナーとして企業で働き、イラストレーターとしての活動は仕事前や夜、週末のみ。本業が絵描きではない上に、SNSの発信にも力を入れられているわけでもない。

——そんなわたしをMr. CHEESECAKEチームに知ってもらうきっかけとなったのが、数年前に描いたある1枚の絵でした。

「Instagramでこの絵を見つけて、satsukimさんしかいないと思ったんです」

代表の田村さんにそんなふうに言ってもらえたとき、うれしくて、同時に深く納得しました。だってこれは、地元で飲食店を営む母があるイベントにカレー屋を出店するとき、そのアイコンとして描いた絵だったから。

わたしが母を想って描いた絵を見て、料理好きだったお母さんとの思い出が仕事のベースにある田村さんが声をかけてくれた。「あ、一緒なんだな」と思いました。Mr. CHEESECAKEのストーリーや考え方に共感できるのは、根っこがリンクしているからなんだなって。そのとき、このプロダクトに関わりたい、絶対に楽しいお仕事になると確信を持ったんです。

 

「コミュニケーション」と「アート」の両立をめざして

最初に手がけたのは、Mr. CHEESECAKEの3種類の食べかた——<冷凍> <半解凍> <全解凍>を表現したイラストです。

考えたのは、どうすればそれぞれのおいしさが直観的に伝わるかということ。そして、「食べかたを伝える」コミュニケーションの部分と「絵として魅力的である」アートの部分の両立をめざすことです。

それで、できあがったものがこちら。いろいろと試行錯誤した結果、3つの「質感」と「温度感」を、かたちと色で表すことにしました。

<冷凍>はマスキングテープを使ってパキッとした直線を生み出すことで、冷凍庫から出したてのかたさを表現。<半解凍>では溶けつつある下半分の輪郭をあいまいにし、<全解凍>では全体の輪郭をぼかしてよりなめらかな質感を表しています。

また、それぞれの温度感を伝えるため、実際のチーズケーキにはない色みを入れました。なかでも、<冷凍>に寒色の青緑を入れたのはちょっとチャレンジでしたね。ふつう、食べ物の絵に寒色はあまり入れないんです。「食欲を減退させる」と言われていますから。

食べ物を描く以上、「おいしそうに見えること」は大前提です。でも、絵ってちょっとしたことで壊れてしまうというか……筆の動かし方ひとつで、おいしそうにも不味そうにも描けてしまうんですね。そんな繊細な絵に「おいしくなさそう」な寒色を入れるわけですから、そのあんばいにはかなり気をつけました。

余談ですが、完成した姿をイメージし、工程を考え、順番に色を重ねていく作業は、料理と似ているなとしみじみ思います。とくにチーズケーキを描くときはペインティングナイフを多用するので、よりお菓子づくりっぽい(笑)。そんな、プロダクトとシンクロしたおもしろさもありますね。

 

「身近さ」と「個性」を両立させるこだわり

わたしにとってMr. CHEESECAKEって「おしゃれだし洗練されているけど、身近」な存在なんです。だから、絵を描くときもこの「身近」な部分を失わないように——つまりアートに寄りすぎないように気をつけています。

たとえば「母の日」のギフトカードに描いたカーネーションなら、ひと目でカーネーションだとわかることがまず大事です。もみの木もラベンダーも同じ。輪郭をぼかしたり抽象度を上げたりしても、「ちゃんと伝わる」ように描く。


そのうえでわたしの作品として、見た人に伝わらなくてもいい、ちょっとした違和感や遊びを入れることにはこだわっています。バレンタイン限定フレーバー「kuro」でいうと右上に入った一筆の銀色がその「遊び」です。

これはもうイラストレーターとしての個性というか、感覚の話なのですが……すべての絵に、ちょっとしたクセやかわいげをつくってあげたいんですね。だからさっき「伝わらなくてもいい」と言いましたが、気づいてもらえたらうれしいし「おっ、やるな」と思います。……って、こんなこと言ったらこれから出す絵のハードル上がっちゃいますね、どうしよう(笑)。

また、もうひとつのこだわりが、納品方法です。Mr. CHEESECAKEで描く絵は厚みがあってスキャナを通らないので、じつは、自然光のもと、カメラで撮影しています。はじめは苦肉の策でしたが、これが立体感のある「そのまま」の絵をいちばんいい状態でお渡しできる。

もしかしたらデザイナーのタカヤオオタさん(※私とミスチと。Vol.1)泣かせかもしれませんが(笑)、Mr. CHEESECAKEにはこのやり方がフィットしたのでずっとこの方法を使っています。

 

流されず、ブレず、本質を守りつづけたい

Mr. CHEESECAKEは、尊敬できる人たちと同じ方向を向いて、プロフェッショナルとして働ける場です。それは、最初の直感どおりでした。

たとえば田村さんもタカヤさんも「こういうふうに使うから、こんな絵を描いて」とはオーダーしません。イメージだけ伝えて、わたしが描いた絵を手にしてから、どうデザインしたらいちばん輝くかを考えてくれる。

だから毎回思いきり表現できるし、仕上がったデザインを見て感動するんです。絵を渡すときはいつもワクワクします。印象深いのは……やっぱり「sakura Ichigo milk」かな。すっごくかわいいし、このデザインは想像もしていませんでした。

わたし、もともと大自然の中で育っているし、都会に執着はないんです。流行や世の中の動きはチェックするけれど、東京のペースに無理に合わせてブレたくないし、自分の感性でじっくり生きていたい。ただマイペースなだけかもしれませんが(笑)。

同じように、Mr. CHEESECAKEも大切なところはブレずに、変わらないでほしいです。もちろん社会は変化するし、会社もチームも大きくなっていくけれど、「作り手もお客さんも幸せ」の部分は絶対に変わっちゃいけないから。そこが本質だと思うから。

これからもMr. CHEESECAKEの一員として、流されず、ブレず、いい絵を届けつづけていけると、こんなにありがたいことはないのかなと思います。

satsukim profile

イラストレーター
和歌山県出身、東京都在住。2018年、愛知県立芸術大学卒業。
2016年より名古屋にてイラストレーターとして活動開始。これまでに雑誌の表紙や挿絵、CDのジャケットやグッズ、空間演出などを担当。

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本や映画、音楽が好きなsatsukimさん。「いつか本の装丁のイラストを手がけてみたい」と、目を輝かせながら語ってくれたのが印象的でした。

次回はMr. CHEESECAKEの撮影のフードスタイリストにお話を伺います。

(取材・執筆:田中裕子)

Mr. CHEESECAKEに深く関わり、支えてくださるメンバーの想いやこだわりをご紹介する連載「私とミスチと。」

Vol.1 Mr. CHEESECAKEを「ブランド」にするために。デザイナー タカヤ・オオタがあえてやらなかったこと

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