Mr. CHEESECAKE初の常設ストア「グランスタ東京店」が“チーズケーキをのせた大きな器”になるまで

Mr. CHEESECAKE初の常設ストア「グランスタ東京店」が“チーズケーキをのせた大きな器”になるまで

Mr. CHEESECAKEが、JR東京駅構内のエキナカ商業施設「グランスタ東京」の銀の鈴エリアに、ブランド初となる常設店をオープンしてから、1年半が経ちました。

今回は、Mr. CHEESECAKEの店舗デザイン設計を担当してくださっているnegu inc.の永井さんと鶴田さんに、グランスタ東京店のデザイン設計についてお話を伺いました。オンラインから始まったブランドが、実店舗という「場所」を持つとき、どのような景色を描こうとしたのか。その舞台裏をお楽しみください。

チーズケーキと人との接点を丁寧にしつらえる

当初、Mr. CHEESECAKEに抱いていた印象は「とても洗練されながらも、ぬくもりや素朴さを同時に感じられる不思議な魅力を持ったブランド」と語る、永井さんと鶴田さん。プロジェクトを進めていく中で、「ブランドやケーキへの思い、手作りの商品へのこだわりなどを知り、この魅力はつくる人の強い想いの現れなのではないか」ということに気づいたそうです。

そんな永井さんと鶴田さんがMr. CHEESECAKEを表現する上で大切にしたことは、“チーズケーキと人との接点を丁寧にしつらえる文化そのもの”と語ります。

『Mr. CHEESECAKEが大切にしている、チーズケーキを食べる空間や時間、箱や器へのこだわり、オリジナルカトラリーの開発など、オンラインショップから始まったからこそ育まれてきた“チーズケーキと人との接点を丁寧にしつらえる文化そのもの”を、空間として表現することが最も大切だと感じ、そのブランドコンセプトやイメージをそのまま空間に落とし込むのではなく、思想そのものを体現することを目指して、デザインを進めていきました。

ケーキがどのように置かれ、どんな距離感で人と向き合い、どんな所作の中で手に取られるのか。
 そうした一つひとつの接点を起点に丁寧に整えることで、自然ともてなしの気持ちや背景にある思いが伝わる空間になると考えたからです。

一般的な床・壁・天井・カウンターといった要素から空間をつくるのではなく、チーズケーキを中心に景色を広げることで空間を立ち上げ、
 「世界一じゃなく、あなたの人生最高に。」というブランドコンセプトを体験として感じていただける店舗を目指しました。』

Mr. CHEESECAKEの文化は“チーズケーキが主役”

Mr. CHEESECAKE グランスタ東京店のデザインコンセプトは“チーズケーキをのせた大きな器”。

この言葉は、Mr. CHEESECAKEやシェフ田村が大切にしてきた目に見えない文化を、丁寧に掬い上げるようにして生まれました。

『プロジェクトの初期段階では、田村さんの言葉やジャーナルの記事を改めてリサーチしました。
箱を開ける瞬間からチーズケーキを食べ終えるまで、その周囲の環境や体験全体に心を配る姿勢は、田村さんのフレンチシェフとしてのご経験とオンラインショップからスタートしたMr. CHEESECAKEならではの文化だと捉えています。

そうした文化を空間で表現する方法を考える中で、一般的な「店舗」という枠組みではなく、まずはチーズケーキが主役としてあり、その”チーズケーキのための大きな器”として景色をつくる、という考え方に至りました。

また、人の手の揺らぎを大切にされている点も印象的で、わずかなへこみから生まれる内部という境界や、手仕事から生まれる自然な曲線といった要素を取り込める表現として、「器」という言葉がしっくりきたのだと思います。

この言葉に辿り着くまでに、検討の過程では、いくつかの表現が並行して存在していました。ですが、全てに共通している出発点として「名前のないものをつくる」という考え方です。
 

カウンターやショーケースといった既存の名称やイメージにとらわれず、チーズケーキそのものや数量、条件から逆算し、新しい道具をつくるようにデザインするという発想で様々な表現を検討し
ていきました。』

制約の中で守り抜いた、本質的なもの

「Mr. CHEESECAKE LIMITED STORE 麻布台ヒルズ店」のプロジェクトを経て、Mr. CHEESECAKEが大切にしてきた信念を十分に理解してくださっていた永井さんと鶴田さん。ただ一方で、Mr. CHEESECAKEのコンセプトとリンクさせるために難しいと感じた点もあったそうです。

『麻布台ヒルズ店で培われたMr. CHEESECAKEの印象を引き継ぎながら、初の常設店としてブランドを改めて再解釈する必要がありました。
その解釈が麻布台ヒルズ店の印象から乖離しすぎていないか、またブランドとしての連続性を保てているかという点は、常に意識しながら慎重に検討を重ねていきました。

素材に関しても割れ肌の石や、石を曲面加工して使用する案も検討していましたが、予算や工期の制約によって、本当に必要なものは何かを考え尽くし、様々な要件から最適なデザインを最後まで検討して今回のデザインとなりました。

変更や削減が必要になった際に最優先で守るべきだと考えたのは、一般的な「店舗」というスケールに捕らわれず、今回の施設スケールに見合った“チーズケーキのための器”として景色をつくるというコンセプトそのものです。


あわせて、へこみによって内部と外部の境界を生み出し、チーズケーキの居場所をつくる器のかたちや人の手や自然の揺らぎを感じさせる柔らかな曲線は、
 空間の本質に関わる要素として最後まで残すべきポイントだと考えていました。』

制限があることで、必要な要素が研ぎ澄まされた

変更や削減が必要になっても、ブランドへの思いを改めて丁寧にすり合わせながら、大切にすべき要素をチームで整理し着地点を見つけて行ったと語る永井さんと鶴田さん。最終的には「本当に必要な要素が研ぎ澄まされていくことで、より洗練されたMr. CHEESECAKEらしい空間表現が浮かび上がってきた」と感じたそうです。

『限られた条件のなかでも、当初から共有していたコンセプトの軸はぶらさずに、ブランドへの思いを改めて丁寧にすり合わせながら、大切にすべき要素をチームで整理していきました。本当に必要な要素が研ぎ澄まされていくことで、より洗練されたMr. CHEESECAKEらしい空間表現が浮かび上がってきたように感じています。

また、予算の制約などがあった中で、結果的に素材や形状といった要素を整理していくことでより強くコンセプトを体現出来たと感じています。器となる什器のやわらかなボリュームと石貼りの直線的な台座というシンプルな構成による相乗効果によってチーズケーキを中心とした印象的な景色がつくりだせたと思います。』

お店の顔となった、カリモク家具の什器

グランスタ東京店で印象的な部分といえば、まさに“ケーキをのせた大きな器”。こちらは日本を代表する国内生産の木製家具メーカーのカリモク家具様に特別に制作いただいた什器です。Mr. CHEESECAKEの滑らかな食感をイメージして、手作業で磨かれた滑らかな質感が特長の什器は、ずっと触っていたくなるほどの手触りの良さと、美しさが魅力です。

『Mr. CHEESECAKEがオリジナルのカッティングボードやカトラリーレストをカリモク家具さんと制作されていたことから、施設スケールに合った“チーズケーキのための器”を体現していただけるのではないかと考え、グランスタ東京店で使用する什器もカトラリーを制作するのと同じ感覚で、チーズケーキのための“器”をつくるように什器を制作したい、と依頼しました。

こちらの意図を的確に汲み取ってくださる点に加え、デザインを踏まえた集成材による環境配慮や、樹種や収縮といった素材特性を考慮しながら、試行錯誤に伴走していただける点にも魅力を感じています。


その結果、初の常設店にふさわしい「お店の顔」となる器が完成しました。つい触れてみたくなる滑らかな手触りも、カリモク家具さんならではだと思います。お店の顔として確かな存在感を持ちながらも、どこか柔らかさを感じさせる什器によって、Mr. CHEESECAKE初の常設店にふさわしい空間になったと感じています。』

空間づくりが、食体験の一部として寄り添えますように

『Mr. CHEESECAKEは、チーズケーキそのものだけでなく、チーズケーキを通して生まれる豊かな食体験を作ることに対しても丁寧に考え続けている点に魅力があると感じています。
その姿勢が、ブランドならではの世界観や信頼感につながっているのだと思います。

お店まで足を運んでいただくことで、Mr. CHEESECAKEの文化を体現した空間や什器から、そのブランドの世界観を自然に感じていただけたら嬉しいです。
 

また、チーズケーキを取り巻くささやかな要素一つひとつを丁寧に整えることで、その時間や体験自体が記憶に残るものとなり、私たちの空間づくりがその食体験の一部として寄り添えていれば幸いです。』

およそ8ヶ月の歳月をかけて完成した、グランスタ東京店。

Mr. CHEESECAKEの世界観を感じていただけるように一般的な店舗らしさではなく、”ケーキをのせた大きな器”をコンセプトに掲げ、まさにブランド名の如く、チーズケーキが主役となっている場所。駅の喧騒の中にありながら、どこか穏やかな時間が流れる「大きな器」。 Mr. CHEESECAKEの世界観を体験しに、ぜひ一度、足を運んでいただけると嬉しいです。

ー Profile ー

negu.inc
代表 永井健太
空間/エレメントデザイナー
空間とは、その場のモノ、光、音、時間、人、行為といった様々な要素の関係性によって認識される概念であり、これらの要素を複合的に知覚、整理し、構成することが空間デザインの本質と考えています。同時に、空間の構成要素のひとつである物質的なモノをエレメントと捉え、シンプルに丁寧にしつらえていくことで空間の中での正しい在り方を探求しています。身体性や人間の感覚といった普遍的な価値観と、その時代や文化といった背景を大切にすることで、永く愛される空間をつくりだすことを目指しています。

鶴田乃泉
空間デザイナー
人や行為と関わり続ける空間において、機能や条件といった制約を踏まえながら、空間のあり方を見極め、その場所や状況だからこそ生まれる価値を見出すことを大切にしています。そうした積み重ねを通じて、より豊かな体験につながる空間づくりを目指しています。

negu.inc

Mr. CHEESECAKE グランスタ東京店

住所:〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-9-1 JR東日本東京駅構内 B1F 銀の鈴エリア(フロアマップ㉘)
営業時間:8:00〜22:00(月〜土)、 8:00〜21:00(日・祝日)

*翌日が休日の場合は、22:00まで営業
*繁忙期、3連休等は営業時間に一部変更がある場合がございます
*営業日はグランスタ東京に準ずるものとします

グランスタ東京店

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