おいしさを追求して作り上げた、オリジナルスプーン誕生秘話
最終更新日:2023.3.7
おいしさを作るのは、味だけではない。
Mr. CHEESECAKEシェフの田村は、そう考えています。きっかけは、修行を積んだフレンチレストランでの修行の日々でした。
例えばレストランでは、ムードのある空間があり、お皿があり、カトラリーがあり、どういう順序で食べてもらうのかなどのシェフの工夫があり、あらゆることを複合的に絡め合わせてハーモニーを生むことでおいしさを作り上げてゆきます。
こんな体験を通し、ひとつの想いが生まれました。
チーズケーキをただご自宅に届けるだけではなく、おいしさをもっとアップデートできる体験も一緒に提供できないだろうかと。
そこで私たちは「Mr. CHEESECAKEのためのスプーン」を作ることにしたのです。
レストランではメニュー毎にカトラリーが変わる。そんな体験を自宅でも
前菜には前菜用のフォークがあり、肉には肉用、そしてデザートにはデザート用のカトラリーが用意されます。それぞれのメニューを、一番おいしく食べるための工夫です。
そんなレストランでの当たり前を、Mr. CHEESECAKEを家で食べるときにも提供できないだろうかと考えました。
田村:
「以前家でケーキを食べたときに、カトラリーの食感がすごく気になったんです。厚みが強く、ざらざらとした感覚が舌に残りました。これでは、味を純粋に楽しむことができないと思ったんです。
けれど、理想のものがありませんでした。
そこで口の中で邪魔にならず、よりおいしさが引き立つカトラリーを作れないだろうかと、オリジナルを開発する決意をしたんです」
ものづくりの街・金沢で実現した、独自のスプーン制作
▲左から、secca・上町さん、柳井さん、シェフ田村、石川樹脂・石川さん(本撮影データは取材日以前に撮影したものです)
制作に協力してくださったのは、石川県に拠点をおくクリエイター集団・secca(せっか)inc.さんと、石川樹脂工業株式会社さん。
「チーズケーキを一番おいしく食べられる形状とはどんなものか」という熟考と試行錯誤の末に辿り着いたのが、ヘラのような形と、先端が0.3mmというスプーンでは見たこともない薄さでした。
どうしてこのような形になったのか、secca inc.の上町さんと、石川樹脂工業株式会社の石川さんに伺いました。
上町さん:
「我々は道具をデザインする前に、道具がもたらす体験とは果たして何かを考えます。今回の場合も、ただ見た目が格好良いだけではなく、食体験をどうアップデートできるのかを考えました。
口に入れた時だけではなく、初めて目にした時、チーズケーキにカトラリーを触れさせる瞬間、口に入れる瞬間、そして抜く時、そのすべてをどうより良くするかを考えた末、チーズケーキの食感や味わいが引き立つように、カトラリーの気配をいかに消すかを徹底的にこだわろうと決めたんです」
切るときも美しく、食べているときのお皿までも美しく
まず特徴的なのがヘラのような形。これはチーズケーキを食べるときに、口に入れる分だけきれいに切れるようにと考えられた形状です。
例えばケーキを食べるときによく使われるフォーク。フォークは切るのに特化した道具ではないため切りづらく、時にケーキが倒れてしまったり、ケーキを押しつぶすようになってしまったりします。
まるでナイフのようにスッと美しく切ることができ、そして口の中に入れて抜く。そこに特化した形は、もんじゃを食べる時に使うような「ヘラ」の形かもしれないとsecca inc.さんは思いついたそうです。
上町さん:
「チーズケーキは冷凍で届きます。凍った状態から溶けてクリーミーになった状態まで、どの過程も美しく食べられる方法を考えました。
ものすごくフラットな形だと、凍ったケーキを切りやすく、さらにクリーミーになってお皿につきやすくなった状態をすくいやすいんです。
ただ当初作ったものだと、口の中でのスプーンの存在感が大きすぎました。そんな悩みを抱えているときに、石川樹脂さんが『極限まで薄くしてみよう』と言ってくれたんです」
※ 冷凍庫から取り出した直後のケーキで使用すると、折れたり欠けたりする可能性があります。スプーンの利用はケーキ表面に力を加えずにスプーンが入る状態になってからの利用を推奨いたします。
存在感を感じなくなるまで薄くした場合、金属で作ると刃物になってしまいます。そこで樹脂を採用。プラスチックの中でも環境配慮型の新しい樹脂「トライタン」という素材を使用しています。柔軟性が特徴的なこの素材にさらにガラス繊維を含ませることで、今までにない造形が可能となったことも、このスプーンの誕生を手助けしました。
けれども今までの経験から、当初誰もがここまで薄くできると思っていなかったそうです。そんな限界を超えたものづくりは、石川樹脂工業株式会社さんの確かな技術力と、携わった方々のこだわりの結晶です。
▲さまざまな試作品を作り、検討しました。(本撮影データは取材日以前に撮影したものです)
石川さん:
「今回のスプーンは、0.3mmというプラスチックの薄さの極限にまでトライして制作しました。前例から考えるとまず形にならないと思いましたし、なったところで強度が保てるか自信はありませんでしたね。
それにプラスチックは基本同じ厚さで作るのが特徴の材質なので、先端と持ち手で厚みが変わるのも、さらに難易度をあげるものでした」
存在感が限りなく薄いからこそ、チーズケーキの純粋な味が口にひろがる
今までのスプーンは、ケーキとともに口に入れ、一緒に食べるという感覚が強いものが多いように思います。当たり前のことだから気づかなかっただけで、実は舌はかなりスプーンの食感を捉えていたのです。
今回制作したスプーンは、一緒に口に含むというよりも、ケーキを運び、そして口の中に置いてくる、という感覚に近いかもしれません。
限りなく存在感がないスプーンは、口に含んでもするりと抜け、その後にはチーズケーキ本来の香りや甘み、そしてクリーミーな食感のありのままがひろがるのです。
フォークや普通のスプーンを使って食べるのとは違う、そして手で持って食べるのともまた違う。
私たちが作ったスプーンを通した新しい食体験を、ぜひこの機会に味わってみてください。
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