“おいしいをしつらえる”に、その土地らしさを重ね合わせる。東海地方初・名古屋栄店ができるまで

“おいしいをしつらえる”に、その土地らしさを重ね合わせる。東海地方初・名古屋栄店ができるまで

Mr. CHEESECAKEは、2026年6月11日に4店舗目となる常設ストアを名古屋栄に開業する商業施設「HAERA」へオープンしました。東京都内に3店舗の常設ストアを展開するMr. CHEESECAKEにとって、初めての東海地方への出店となります。

そんな「Mr. CHEESECAKE 名古屋栄店」のデザイン設計を担当いただくのは、これまで全ての店舗デザインを手掛けてくださっている、negu inc.の永井さんと鶴田さんです。

今回は、名古屋栄店にどのような世界観を描こうとされたのか。その制作の舞台裏を、どうぞお楽しみください。

Mr. CHEESECAKEと瀬戸焼に共通する魅力

これまで手掛けてきた店舗デザインの根幹を保ちつつ、お二人が空間で表現したのは、チーズケーキと人との接点を丁寧にしつらえる、Mr. CHEESECAKEの文化そのものです。特に愛知県名古屋市への出店を機に、その土地固有の文化や背景をこれまで以上に積極的に取り入れたと言います。

『複数店舗を展開する中でも、「おいしいをしつらえる」という考え方は変わりませんが、それぞれの店舗が固有の価値を持ち、その場所にしかない“らしさ”を感じられることが大切だと考えました。それが、ブランドの世界観をより豊かに広げられるのではないかと思ったんです。


その土地らしさを表現するために、まず愛知県の伝統工芸や素材をリサーチし、その中で瀬戸焼に着目しました。

瀬戸焼には、白くやわらかな印象を持つ素地や、さまざまな釉薬によって多様な表情が生まれる特長があります。
そうした、何にでも染まれるような瀬戸焼の素焼きの状態や、素材そのものの魅力を活かしながら幅広い表現ができるあり方に、Mr. CHEESECAKEの華美に装飾をせず、素材を丁寧に引き立てる考え方との共通性を感じました。

また、素地がもつ柔らかさや滑らかな質感も、ブランドの印象と重なる部分があり、今回は瀬戸の土を用いた特注タイルを製作し、空間全体の質感として取り入れています。 』

有松・鳴海絞の伝統工芸品、有松絞りとの出合い

“その土地らしさ”を表現する要素として、瀬戸焼と並んで着目したのが「有松絞り」です。

有松絞りは、慶長13年(1608年)にその歴史を始めたとされる、愛知県名古屋市の有松町・鳴海町地域で作られる木綿絞りの総称です。布を括って染める技術により、多様な文様を描き出すのが特長で、その軽やかで涼しげな感触から、主に浴衣地として親しまれています。

この有松町・鳴海町地域は全国一の絞り染め産地として知られ、1975年には「有松・鳴海絞」として国の伝統的工芸品に指定されています。

『その土地ならではの要素を取り入れるという提案を進める中で、「有松絞り」という文化に出合いました。

有松絞りの、一つ一つを丁寧に手で括り絞ることで、均一ではない自然な表情が生まれる点が、人の手による揺らぎを大切にされているMr. CHEESECAKEの思想と重なると感じました。

具体的には、カフェ席と共用部を仕切る暖簾に有松絞りを取り入れました。
あえて染色はせず、絞りによって生まれる布のしわや陰影だけが静かに浮かび上がるようにしています。また、空間全体としても、ものと素材の間にある曖昧な感覚を意識し、空間をしつらえる要素として取り入れています。 』

人の手の痕跡や素材の揺らぎと、店舗としてのバランス

「コンセプトの軸は初期段階から比較的明確だったため、大きく方向性に迷うことはなかった」とお二人は語ります。しかし、その一方で、難しさも感じたそうです。

『抽象的なイメージを実際の素材や納まりとしてどう成立させるかという点が難しかったです。今回の店舗では、左官、特注タイル、有松絞りの暖簾など、既製品では表現できない部分が多く、マテリアルそのものを一から製作する必要がありました。

特に、人の手の痕跡や素材の揺らぎを大切にしながらも、店舗としての精度や完成度を保つバランスにはかなり繊細な調整が必要でした。職人の方々にはこちらの大枠のイメージを丁寧に汲み取っていただき、細かなサンプル調整を何度も重ねながら進め、最終的には多くの方の理解と協力があって初めて実現できた空間だと感じています。 

また今回も、店舗全体の方向性は大きく変わることはなく、細かな仕様調整を重ねながら今のデザインに着地させ、何を残すべきかという判断軸が明確だったため、必要なものを見極めながら整理できたと思います。

そのひとつとして、左官やタイルを使用する場所を少し絞ったことで、結果的に空間の見え方がより良くなったと感じています。素材を全面に使うのではなく、余白や背景となる静かな面が生まれたことで、商品やディスプレイ、しつらいのための場にも自然と視線が向かいやすくなったと思います。』

洗練さとぬくもり。そして、おいしいをしつらえた名古屋栄店

およそ10ヶ月の歳月をかけて完成した名古屋栄店。

「洗練されたブランドイメージはありながらも、柔らかくぬくもりのある空間の中にしつらいの要素が点在し、あたたかく静かにブランドの思想が伝わる場所になった」と、negu inc.の永井さんと鶴田さんは話します。

象徴となる、瀬戸の土を使った特注タイルと左官によってつくられた、素朴であたたかく、やわらかな印象を持つ什器全体。それに加えて、これまでのコンセプト同様に空間の中に“しつらえるための場”や余白を意識的に設けた店内。

この店舗ならではの素材感や空気感、ディスプレイ、料理など、さまざまな要素を通してMr. CHEESECAKEの想いやおもてなしの気持ちを感じ取っていただき、その時間そのものが心地よく記憶に残る体験になることを願っております。

 ーProfile ー
negu.inc
代表 永井健太
空間/エレメントデザイナー
空間とは、その場のモノ、光、音、時間、人、行為といった様々な要素の関係性によって認識される概念であり、これらの要素を複合的に知覚、整理し、構成することが空間デザインの本質と考えています。同時に、空間の構成要素のひとつである物質的なモノをエレメントと捉え、シンプルに丁寧にしつらえていくことで空間の中での正しい在り方を探求しています。身体性や人間の感覚といった普遍的な価値観と、その時代や文化といった背景を大切にすることで、永く愛される空間をつくりだすことを目指しています。

鶴田乃泉
空間デザイナー
人や行為と関わり続ける空間において、機能や条件といった制約を踏まえながら、空間のあり方を見極め、その場所や状況だからこそ生まれる価値を見出すことを大切にしています。そうした積み重ねを通じて、より豊かな体験につながる空間づくりを目指しています。

negu.inc

Mr. CHEESECAKE 名古屋栄店

場所:〒460-0003 愛知県名古屋市中区錦3-25-1 ザ・ランドマーク名古屋栄 B1F
営業時間:10:00〜20:00

<カフェ>
営業時間:12:00〜20:00(L.O. 19:30)
席:カウンター6席

*混雑状況に合わせて、混雑緩和と安全確保のため、物販の入店整理券およびイートイン(カフェ)ご利用整理券の配布をしています。詳細はこちらをご確認ください
*営業日・営業時間はザ・ランドマーク名古屋栄およびHAERAに準ずるものとします

名古屋栄店

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