味と香りを、いかに「設計」するか?「おいしい」を届けるために、Mr. CHEESECAKEのシェフが考えていること。

味と香りを、いかに「設計」するか?「おいしい」を届けるために、Mr. CHEESECAKEのシェフが考えていること。

Mr. CHEESECAKEは、「香り」にファンが多いチーズケーキです。

通常フレーバーも季節ごとにお届けする限定フレーバーも、「レモンが効いてる」「スパイスがアクセントになってる」と素材の香りを見つけ、楽しんでくださる方がとても多いのです。私たち自身、どのフレーバーを紹介するときもかならず香りに触れています。

……といっても、まだ召し上がったことのない方にとっては「?」かもしれません。

「チーズケーキの〝香り〟ってどういうことだろう?〝味〟とは違うんだろうか?」と。

そこで今回は、シェフでありMr. CHEESECAKEの生みの親である田村浩二が、「おいしい」を構成するもっとも大切な香りの秘密について語ります。「10年以上、味と香りを探求してきた」という田村は、なにを考え、どうレシピを作っているのでしょうか。

シェフの頭の中を、語ってもらいました。ぜひ、お楽しみください。

「おいしい」だけじゃない体験を届けるために

はじめてMr. CHEESECAKE(と後に名付けるチーズケーキ)を作ったときから僕がこだわっているのが、「香り」。もっといえば、味と香りのバランスです。

チーズケーキという商品は、とてもシンプルです。たとえばフルーツケーキのように、素材でアクセントを出すことができない。レストランで出す料理のように、たくさんの食材やソースで味わいを変化させることもできない。

しかもMr. CHEESECAKEは「1本まるごと」お届けするわけで、いくらひと口目で感動しても、それが単調な味わいでは食べ飽きてしまうでしょう。

1本の中で抑揚をつけ、幅を持たせるために——最初から最後まで「おいしい」を感じてもらうために——必要なのが、味と香り、両方の「設計」だったのです。

どうすればひと口で複数の味わいを、多層的な香りを、届けることができるのか。料理人としてレストランで培ってきた感性とロジックを使い、考え尽くしてできたのがMr. CHEESECAKEです。

香りを設計する「シェフの頭の中」

Mr. CHEESECAKEはスッと消える口溶けにこだわっていて、食後感が軽いのがひとつの特長です。でも、口に入れた瞬間から飲み込んだ後まで香りが広がる時間が長いため、「おいしい感覚」は続く。だから、次のひと口につい手が伸びる。これがベースの設計です。

具体的に、Mr. CHEESECAKEに香りをもたらしている原材料は3つあります。爽やかな酸味の風を吹かせるレモン。桜餅のような風味を漂わせるトンカ豆。そして甘みを牽引するバニラ。これら原材料の個性、そして相性こそが、気持ちのいい余韻を生み出しています。

香りを考えるうえでまず大切なのが、「温度」です。じつは、人が感じる香りは食べものの温度帯によって変わります。冷たいと酸味を感じやすく、甘さを感じにくい。逆に、あたたかいものは甘さを感じやすく、酸味を感じにくくなります(ぬるくなったコーラの甘さにおどろいた経験、多くの人がお持ちではないでしょうか)。Mr. CHEESECAKEはこれを利用しています。

冷凍庫から取り出してすぐ口に入れると、まずレモンの酸味を強く感じます。それが口の中で溶けていくと、どこかなつかしいトンカ豆の甘やかな香りを感じるようになる。さらにしっかり温度が上がると、バニラならではの芳醇な甘い香りがダイレクトに届く。

つまり、香りが浮かんでは重なっていくわけです。飲み込んでも、その重なりが残る。口に入れてから時間が経つごとに変化がうまれるため、「おいしい」が単調にならないのです。

届けたい味を、ストレートに。最高の体験のために不要なものを引いていった結果、究極的にシンプルなケーキになったと言えるでしょう。

限定フレーバーは、常に真剣勝負

味と香りは密接に関係していて、どちらかを無視してレシピをつくることはできません。

通常フレーバーでいえば、トンカ豆やバニラは「甘い香り」を持っていて、この香りに触れると人は「甘み」を感じやすくなります。ですから、砂糖は少し減らしたほうがいい。そうすると、実際に食べるのは「ほどよい甘みのケーキ」になり、食べ疲れにくさにもつながります。このように味わいと香りのバランスを見極め、今のレシピがあるのです。

限定フレーバーも、このバランスにもっとも意識を研ぎ澄ませています。たとえば3周年記念、抹茶がベースの「Oribe」。

Oribeの香りを構成するのは、このケーキのためにブレンドした抹茶と、バナナ、バニラ、山椒、クローブです。

不思議な組み合わせに思われるかもしれませんが、山椒は抹茶の持つハーブ香と相性がとてもよく、クローブは抹茶の燻製めいた香ばしさを立ててくれます。

また、通常フレーバーでは存在感を発揮するレモンの酸を控えることで、苦みを抑え、旨みを引き出しました。さらに砂糖をやや増やして甘みを際立たせ、それによって抹茶特有の甘い香りを感じやすくもしています。

……複雑に感じたでしょうか。もちろん、こうした意図に気づいていただく必要はありません。これはあくまで作り手の頭の中。ただ、こうして僕たちは感性とロジックをかけあわせ、目指す味に近づけていくのです。

限定フレーバーはいつも「おすすめの食べ方」として解凍具合を提案していますが、これは、作り手である僕が狙い澄ました香りがもっとも際立つ温度です。ぜひ、意識していただければと思います(もちろん、お好みの温度帯を見つけていただくのも大歓迎です)。

それぞれの素材が持つ香りの成分をもとに頭の中で「設計」し、試作しながら修正し、自分が伝えたい風味を作り上げる。時間はかかりますが、ここに一切の妥協はありません。限定フレーバーは、毎回、真剣勝負です。

「1本」でできることを究める。

いちシェフとして、1本のチーズケーキでおいしい体験を届けきるのはレストランよりも難しいと感じています。レストランであれば、お皿の中にたくさんの食材を使うことができますし、コースという形式によって起伏をつけることもできます。噛むごとに、あるいは料理ごとに新しい味と香りを届けられる。「1本」で勝負しているいまの僕にとっては、うらやましいくらいです。

でも、だからこそ挑戦しがいがあります。制限がある中で、どこまで「おいしい」を究められるかを常に考え、挑戦している。その挑戦に対する反応がSNSでダイレクトに受け取れるのも、励みになります。

ここまでいろいろと書いてきましたが、ただ「おいしい!」と食べていただくだけでも、僕たちはとても幸せです。でも、ちょっと「舌」だけでなく「鼻」を——香りを意識してみるだけでぐっと「食べる体験」が豊かなものになるはず。

ぜひ、Mr. CHEESECAKEがお届けする香りの体験を、堪能してください。

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